論理珠算 | Logical Abacus Calculation
論理珠算とは組み合わせ論理[1] を基に構築した計算完備な計算手法である。 つまり、任意のアルゴリズムを論理珠算で実行し結果を得ることが出来る。 したがって、その計算能力は現代のノイマン型計算機と等しく、 従来の算盤では実現できなかった条件分岐や繰り返し処理や構造体を含む計算を行える。
具体的には論理珠算は 論理算盤という算具を用いて整珠という概念と 3つの規則 (青珠の規則, 黄珠の規則, 赤珠の規則) とで成り立っている。 この項ではそれらを説明し、実際に計算する方法を説明する。
論理算盤 | Logical Abacus
論理算盤とは論理珠算を行うための計算器である。 論理算盤は主に計算を行うための盤面と直方体の珠から構成される。 珠は積み重ねられるよう中央に磁石が埋め込まれており、 上面および側面は4色(白色, 青色, 黄色, 赤色)に塗られている。 盤面は磁性があり、かつ升目状の印刷が上面に施されており、一区画に珠を平積みできる。 用意する盤面の広さおよび珠の数は制限されておらず、 計算を行う際に必要があれば随時追加していくことを前提としている。
珠 | pieces
計算を行う者に向かっている面の色を読み取る。 面の色が、白色ならば白珠(しろだま)、青色のならば青珠(あおだま)、 黄色ならば黄珠(きだま)、赤色ならば赤珠(あかだま)と呼ぶ。 さらに白珠以外の一つからなる珠を単珠(たんじゅ)と言い、 任意の珠の2つ以上の連なりからなるものを複珠(ふくじゅ)と呼ぶ。
表記方法 | notation
白珠, 青珠, 黄珠, 赤珠それぞれを , , , と表記する。左から右へ表記された珠は下から上に平積みされた珠を意味する。
それらを並べた状態の盤面を次の様に表す。 黒色に塗りつぶされた矩形部分は珠が置かれていないことを表す。
Unlambda記法
, , , という表記は紙面での運用性が良くないため、 基本ラテン文字での表記方法を紹介する。 次の表に従って一対一に変換する。
珠 | 文字 |
---|---|
` | |
s | |
k | |
i |
したがって、 は `ski というように表記される。 これは一般にUnlambda記法と呼ばれる。
参考文献 | References
- [1] Schönfinkel, Moses. “Über die Bausteine der mathematischen Logik.” Mathematische Annalen 92.3 (1924).